防災豆知識 & Topics
南海トラフ巨大地震
南海トラフ巨大地震
被害予測220兆円
最大950万人避難
政府の中央防災会議の作業部会は、経済的な被害は最悪の場合に約220兆円にのぼるとの推計を発表しました。合わせて3,440万人が断水に直面し、避難者は最大950万人に達するなど生活への影響も予測。
南海トラフでこの規模の地震が起きるのは、1000年に一度よりもまれと考えられるが、最悪の事態を想定して減災対策が必要とされる。東日本大震災で得たデータなどをもとに、震度や浸水域の分布などから被害を想定すると、東海地方から九州にかけて大きく被災し、産業集積地や東西物流の大動脈が直撃される。経済被害約220兆円のうち169.5兆円は地震・津波などによる家屋や施設、資産への直接的な被害の総額。東日本大震災の10倍にあたる。地震発生から1年間の生産減少やサービス低下による間接的な経済被害は、国内総生産(GDP)の約1割にあたる44.7兆円と推計される。
減災対策として耐震化率を現状の79%から100%に向上させたり、出火防止策を講じたりする効果を試算すると直接的な経済被害は5割、間接的な経済被害は3割程度抑えられる。一方、水道や電気などの被害については、最悪の場合に北海道、東北を除く40都道府県で人口の約3割にあたる3,440万人が断水に直面、2,710万軒が停電すると予測される。避難者は地震発生直後は700万人だが、一週間後に950万人に達し一か月後には880万人になると予測される。
新幹線、高速道も寸断
東京-大阪間を結ぶ新幹線、高速道などの主要交通網が寸断。設備の被害額は1.4兆円、物流などへの影響で生じる被害額は6.1兆円にも上ると想定される。火力発電も本格的復旧に一か月程度かかり、産業への打撃も懸念される。 高速道路は崩落などの大きな損害がなければ、地震発生の翌日に緊急車両の通行が始まるが、一般車両が通行できるようになるのは一か月後。新幹線はさらに時間がかかり、三島(静岡)-徳山(山口)間は発生から一週間後も不通。全線開通再開は一か月以内が目安となる。電力は東海から九州にかけて最大9割の世帯で停電する。供給能力が元通り回復するまでには一か月程度が必要だとしている。
南海トラフ巨大地震
静岡県沖から四国、九州沖にかけての海底のくぼみ(トラフ)が震源地
南海トラフは、四国の南の海底にある水深4,000m級の深い溝(トラフ)のこと。非常に活発で大規模な地震発生帯である。
将来、東海地方から九州沖を震源とする巨大地震の発生が想定される。国の被害想定によると最悪で32万人の死者が出ると発表。静岡県沖から四国、九州沖にかけての海底にはおよそ1,000キロにわたってくぼみ(トラフ)があり、ここを震源にいくつかの地震が同時に起こり、発生する可能性のある最大規模(マグニチュード=M=9.0~9.1)の巨大地震。古文書の記録からは、同規模の地震が過去に発生したことは確認されていない。南海トラフ沿いでは東南海地震、南海地震などM8級の地震が100~150年周期で起きている。
死者32万人、津波34メートル想定
全国の死者は32万3,000人。日本で最悪の10万5,000人が亡くなったといわれる関東大震災(1923年)の3倍、昨年の東日本大震災の17倍の被害に当たります。特に静岡、三重、和歌山、宮崎、高知、愛知、徳島、愛媛に大きな被害が出るとみられる。被害の大半は、地震後に押し寄せる津波によるものです。各地で高さ10Mを超える大津波を観測。全体の死者のうち、23万人は津波で亡くなるといわれる。
南海トラフ巨大地震の被害想定
南海トラフ 巨大地震 |
東日本 大震災 |
|
---|---|---|
経済被害 | 220兆円 | 16.9兆円 |
地震規模 | M9.0~9.1 | M9.0 |
津波の 浸水面積 |
1,015平方キロ | 561平方キロ |
死者・ 行方不明者 |
32万人 | 1万8,550人 |
負傷者 | 62万3,000人 | 6,142人 |
全壊棟数 | 238万棟 | 13万棟 |
避難者 | 950万人 | 47万人 |
断水 | 3,440万棟 | 257万棟 |
停電 | 2,710万棟 | 871万棟 |